Lindsay Stahl
「少ないほど良い」は、患者リクルートには当てはまらない:SCOPE Europeで語られたデータ駆動型戦略
SCOPE Europeのセッションで、CitelineのLindsay Stahl氏(VP兼グローバル責任者、患者エンゲージメント&リクルート)とSkye Hodson氏(VP、臨床ソリューション)は、「Built-In Data Advantage: Integrating Data & Feasibility for a Tailored Patient Recruitment Strategy That Scales(組み込み型データ活用:拡張可能な個別最適化リクルート戦略のためのデータと実現可能性の統合)」と題したプレゼンテーションを行いました。
Stahl氏は、「患者リクルートにおいて、単一のデータソースやレジストリに過度に依存している現状がある」と指摘。Hodson氏も「従来の実現可能性評価は断片的で不完全。経験に頼りすぎている」と課題を挙げました。 また、プロトコルの意図と患者の現実との間にギャップが生じる原因として、分断されたアプローチがあるとし、施設レベルのパフォーマンスも限定的な視点でしか見られていないと警鐘を鳴らしました。
Skye Hodson
さらに、米国では臨床試験に参加している医療従事者(HCP)がわずか4%であることから、残り96%のHCPが持つ患者プールが活用されていない現状にも言及。「Citelineでは、より包括的で偏りのない360度のボトムアップ型アプローチへと進化している」と述べ、質の高いデータに基づく患者と施設の特定が可能になっていると強調しました。
Stahl氏は、「Citelineのデータとリアルワールドデータを組み合わせることで、適切な患者だけでなく、その患者とつながる医師も特定できる」と説明。施設がその医師に働きかけることで、患者を試験に紹介したり、試験施設へ誘導することが可能になると述べました。
Hodson氏は、トークン化された長期的なリアルワールドデータやサイバー・パフォーマンス指標との連携により、患者の所在を正確に把握できるとし、個人情報保護にも配慮した設計であることを強調。 その結果、登録予測の精度は33%向上し、「今後の実現可能性評価は、単なる計画ではなく、成果を設計する“エンジニアリング”のようなものになる」と展望を語りました。
Stahl氏は、患者の特定にはデータの連携が不可欠であるとし、「データがつながっていなければ、患者を見つけて施設に届けることは不可能」と指摘。Citelineでは、保険請求データ(オープン・クローズド)、電子カルテ(EMR)、社会的健康要因、病院・検査機関の情報、構造化・非構造化の臨床ノート、さらには医療従事者向けSNS「Skipta」など、幅広いデータを活用していると紹介しました。


