エグゼクティブサマリー
ヘルスリテラシーは、過去数十年で大きく進展してきました。特にインターネットやソーシャルメディアの登場によって、その変化は加速しています。しかし、この重要な分野には、まだ成長の余地があります。多くの人が健康に関する情報をソーシャルメディアから得るようになった今、誤情報や偽情報が瞬く間に拡散され、何を誰を信頼すべきか判断することが難しくなっています。
臨床試験の参加者を募集するスポンサーは、こうした状況を十分に考慮する必要があります。そうしなければ、プロトコルに適合する患者を見逃すリスクが生じます。患者のヘルスリテラシーのレベル、背景、居住地などに応じて適切なアプローチを取ることで、参加への理解と納得を得る可能性が高まります。
ヘルスリテラシーの現状
2020年、米国疾病予防管理センター(CDC)は、米国政府の「Healthy People 2030」イニシアチブに沿って、個人および組織のヘルスリテラシーの定義を更新しました。ヘルスリテラシーは、同イニシアチブの主要目標のひとつである「健康格差の解消、すべての人の健康の向上、そして健康と福祉のためのヘルスリテラシーの達成」において中心的な役割を担っています1。
CDCによる定義は以下の通りです:
- 個人のヘルスリテラシー:個人が、自身や他者の健康に関する意思決定や行動のために、情報やサービスを見つけ、理解し、活用する能力の程度2。
- 組織のヘルスリテラシー:組織が、すべての人が情報やサービスを公平に見つけ、理解し、活用できるよう支援する能力の程度2。
情報が指先ひとつで得られるこのデジタル時代において、私たちはどれほどヘルスリテラシーを身につけているのでしょうか。その評価を行うには、まず社会全体としてのリテラシーの水準を見直す必要があります。
References
1 US Department of Health and Human Services Office of Disease Prevention and Health Promotion (N/A) Health Literacy in Healthy People 2030. Available from https://odphp.health.gov/healthypeople/priority-areas/health-literacy-healthy-people-2030 [Accessed July 8, 2025]
2 Centers for Disease Control and Prevention (2024) What is Health Literacy? Available from https://www.cdc.gov/health-literacy/php/about/index.html [Accessed July 8, 2025]