Pen on a notebook.

Sue Sutter著

https://pink.citeline.com/PS154749/US-FDAs-Cell-Gene-Therapy-Office-Head-Wants-Sponsors-To-Seek-Out-Meetings

 

「企業は、正式な面談や会議以外でも、FDAのスタッフとより頻繁に話し合ってほしい。特に、FDAによる数年前のアドバイスを自分たちのケースに合わせて明確化したい場合や、薬剤を開発中に問題が生じたときは」――FDAの幹部がそう語る理由とは


米国食品医薬品局(FDA)の細胞・遺伝子治療室(cell and gene therapy office)は、製薬企業側がFDAの助言をより明確化してほしいと感じた場合や、開発プログラムに問題が生じた場合、正式な会議の合間にスタッフに相談することを求めている。

FDAの生物製剤評価研究センター(CBER: Center for Biologics Evaluation and Research)治療製品部門(OTP: Office of Therapeutic Products)のNicole Verdun部長は、最近の食品医薬品法学会(Food and Drug Law Institute)の年次会議において、処方薬ユーザーフィー法(PDUFA: Prescription Drug User Fee Act)における正式な会議の構成とスケジュールを考慮すると、「公式な話し合いの間にかなりの時間が空くことがあります」と指摘した。

PDUFAや医薬品開発促進を目的としたFDAの他のプログラムでは、企業がFDAと話をする正式な機会が数多く設けられているが、「企業によっては、そのような会議の合間に我々とコミュニケーションを取る方がずっと楽な場合もあります」とVerdun氏は話す。「以前FDAから受けたアドバイスの中身を含めて、企業側に新たな疑問が生じた場合はFDAと積極的に話し合うよう勧めています」。

FDAが臨床試験のデザインについてアドバイスをしてから、その臨床試験が実際に開始されるまで、数年が経過することもある。FDAとスポンサーの考え方が変わっているかもしれない、とVerdun氏は言う。

「いうまでもないことですが、FDAの考え方は数年の間に変わっていくものです。この分野は大きく進化するものですから」と同氏は話す。「例えば、臨床試験に関して出された5年前のFDAの助言を持ち出して質問を重ねたりすることは、実際に不合理なことではないのです」。

企業がFDAとの面談を追加することは、企業が当初計画したとおりに研究を実施する過程で問題が見えてきた場合、あるいは「その疾患領域や空間において、これまでとは異なる方法がとられるようになった」といった場合に特に有効だと同氏は言う。

「企業には、積極的に(FDAとの)話し合いに戻ってきて質問してきていただきたい」と同氏は話す。「5年前に私たちがアドバイスした話題について疑問が生じたということは、そのアドバイスだけでは当時不十分だったということですから」。

もっとも、同氏はすぐにその発言を訂正し、「ものごとによっては、その場のアドバイスで解決できるものもあれば、後から別の追加情報が必要な場合もあります」 と付け加えた。

問題の早期報告

Verdun氏はまた、患者の登録が進まないなど、開発プログラムの中で期待通りに機能していないことがあれば、早期に当局に知らせるよう企業に求めている。

「企業がFDAを3年、4年と待たせた挙句に、"患者を登録できなかった "と言ってくるような状況もありますが、早いうちに問題を共有できた方がベターです。私たちは、必要な患者さんにできる限り早く治療を提供するという目標を共有しているのですから。」

同氏は「その種の問題を抱えている場合、何年もただ待つというのは、おそらく最善の方法ではないでしょう」と付け加えた。

法律事務所Holland and KnightのワシントンDC支局でパートナーを務めるMichael Werner氏は、パネルディスカッションの中で、製薬企業は「解決していない疑問の多さ」を、FDAとの面談に行かない言い訳にしてはいけないと述べた。

「企業の側は『まだタイプBのミーティングやタイプCのミーティングを受ける準備ができていないんだ。今はこんなにたくさん疑問があって、まだFDAとのミーティングに戻れるタイミングじゃない』などと言う必要はないのです」(Werner氏)

Spark Therapeutics, Incのアソシエート・ゼネラル・カウンセルを務めるDeborah Tolomeo氏は、「物事は変化するものですから、早めに、頻繁に、そして継続的に(FDAと)コミュニケーションをとりましょう」と付け加えた。

怖気づかずにコミュニケーションを

Verdun氏はまた、企業側は、臨床試験デザインに関する質問や提案にノーと言われることを心配する必要はないと述べた。

「怖がらないでほしいのです。本当に悪い質問というものはありませんから」と同氏は話す。

とはいえ、FDAとしては、企業に対して治験をどのようにデザインし、何人の患者を治療するかといった項目について指示するようなコンサルタント役はできない、と同氏は話す。

「そのような点を除けば、私たちは企業からのアプローチを受け付けていますし、対話を奨励しています」と同氏は言う。「評価項目やその他のデータを "FDA側から見て、完全に理解することも意味を把握することもできない "ような状態にしたままBLA(生物学的製剤承認申請書:Biologic License Application)直前の会議に臨むよりは、早期に疑問や問題に対処することが、企業にとっても望ましいのです。私たちは、そうした会話をより早期に始めたいのです」。

Verdun氏は、一部の企業はFDAと話し合いを持てるチャンスをきちんと活用していないと付け加えた。

「(企業の側としては)そのような会話をすることを恐れているのかもしれません。でも、一歩引いて、"どうすればこの分野での成功を確かなものにできるのか、あるいは確かなものに近づけられるか "と考えてみれば、私たちがアイデアや理解を共有する過程で、より緊密なコミュニケーションが役立つことは明らかです」(Verdun氏)

CBER、さらなる会合を開催

Verdun氏率いるOTP(治療製品部門: Office of Therapeutic Products)が、製薬企業に対してより密なミーティングを呼びかけたことは、同部門が、ここ数年のスケジュール管理の難しさを乗り越えて、再び足場を固めたことを示唆している。

COVID-19のパンデミック収束以前、OTPが所属するCBER(生物製剤評価研究センター: Center for Biologics Evaluation and Research)の膨大な業務量は、細胞および遺伝子治療スポンサーとの正式なミーティングの遅延につながり、電話会議よりも「書面での回答のみ」のコミュニケーションに大きく依存した。

Wilson Bryan所長(当時)のもと、FDAの組織・先端治療局(Office of Tissues and Advanced Therapies)は、その後OTPの「上部組織」となったが、2022年に、製薬企業とのコミュニケーション改善を目的とした施策を試験的に実施した。

FDA-Trackのデータによれば、CBERは現在、これまで以上に多くのPDUFAミーティングを開催しており、3月に終了した2024年度第2四半期では171回を数えた。

パンデミック対策に加え、CBERは人員増により、より多くの企業との面談が可能になった。

CBERは、第7次PDUFAで提供された追加資金のおかげで雇用を増やしている。FDAのデータによれば、2023年度には32人、2024年度には3月末までに54人を新たに雇用した。

同センターは、COVID-19ワクチンに使用されたワープスピード作戦に倣い、企業とFDAがより緊密なコミュニケーションを可能にする新たな試験プログラムに参加している。

CBERはこのほど、Support for clinical Trials Advancing Rare disease Therapeutics(START)プログラムの初期参加者を発表した。開発プログラムは、希少疾患または重篤な疾患に対するアンメット・メディカル・ニーズに対応することを目的とした遺伝子または細胞治療で、生後10年以内に重大な障害または死亡に至る可能性が高いものでなければならない。

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